読書感想文2022
T.Uさん/やさしさで世界を幸せにした少年

課題図書:

みどりのゆび

著者:

モーリス・ドリュオン

 ぼくが読んだ本は、「みどりのゆび」です。なぜ、ぼくがこの本を選んだかと言うと、本の題名に興味を持ったからです。「みどりのゆびって何だろう、病気で指が緑になったのかな。」と思いましたが、読み始めるとぼくの予想とは全くちがっていました。「みどりのゆび」とは、主人公のチトがもっている自然の力を操れる特別に神様がくれた指です。チトが土を触ると、そこから数秒で花がいっぱい咲き始めるのです。チトは、その「みどりのゆび」で花を咲かせて、生きる力を失っている人々や動物たちを勇気付けたり元気付けたりして、最後には戦争を止めさせてしまうとてもおもしろいてんかいの物語でした。
 チトが子どもながら、そんなすごい事が出来たのには、「みどりのゆび」を持っている事の他にもいくつかの理由があります。
 一つ目は、学校をやめることになったチトのために、お父さんが2人の教育係をつけてくれた事です。そして、その2人は全くちがうタイプの先生でした。「かみなりおじさん」は、チトの悪い所を指てきしたり注意したりしてくれる先生で、一方の「ムスターシュおじさん」は、チトの良い所を理かいし、ほめてくれる先生でした。こういった大人からの教えがあったから、チトは正しい行動ができたと思います。
 二つ目は、苦しんだり悲しんだりしている人々や動物たちを元気にしたいというやさしい気持ちがチトにあったからです。
 三つめは、チトが、世の中のむじゅんや問題に大人たちが気付きながらあきらめてしまっていることに対して、「なぜだろう。」と、素直なぎ問を感じ、質問をすることを大人たちに止めるように言われても、問い続けることをあきらめなかった事です。
四つ目は、チトが物語の中で、「かなしい心には、ぼくなんかたいして役にたたないってことを勉強しました。病気がよくなるためには生きるのぞみをもつことがたいせつだって、わかったんです。」と言っているように、囚人や貧しい人たちや病人や弱っている動物たちが、自分自身の意思で立ち直ったり元気を取りもどしたことです。
 チトは、「みどりのゆび」の力でさまざまな人たちの心に働きかけ、最後には、大人たちの戦争を止めさせてしまいますが、ぼくが、一番心に残った一節は、戦争に対してチトが感じたぎ問を表現した「かみなりおじさんは、ぼくにはっきりと、みんな戦争には反対だが、さけようがないのでどうしようもないといった。だからぼくは戦争をやめさせたんだ。だから、みんなまんぞくなはずなのに、そうじゃない。」という気持ちです。今、世界では大きな戦争が起こっています。ニュースを見ていても、色々な人が反対しているし、ぼくの周りの人もみんな終戦を願っているのに、半たっても全く終わる気配がありません。
 戦争は人間の世の中でも最も大きなむじゅんの一つです。チトが物語の中で感じたぎ問は、今ぼくが現実に起こっている事に対して感じるぎ問と同じだと思いました。物語の中に出てきた戦争は、チトの「みどりのゆび」の力のせいで花のうち合いになって終わるという面白おかしいものでしたが、作者は、ばかばかしい戦争のおろかさを伝えたかったのだと思います。
 世の中には、むじゅんや簡単には解決出来ない問題があって、「しょうがない。」とあきらめてしまっている事がたくさんあります。しかし、この本はチトの言葉や行動を通して大切な事を教えてくれているように感じます。それは、一つには、世の中の問題に対して関心を持つ事。二つには、その問題に対してしっかり学び考えること事。三つには、正しい事に対して行動する勇気を持つ事です。みんながチトのように世の中のむじゅんや問題に向き合うことが出来たら、問題は少しずつでも解決していく事が出来るのではないかと思います。ぼくもそんな人間の一人になりたいと思います。
《講評》

 チトが「みどりのゆび」を使って戦争を止めることができた理由や、チトを取りまく人々やチトの疑問に感じたことを問い続けることをあきらめなかったしせいを読み取り、考えることができました。また、戦争という大きなむじゅんについて、今起きている戦争にてらし合わせて考えた点はどう察がするどく、「戦争には反対だが、仕方がない」とあきらめてしまっているわたしたち大人の無せきにんさをつう感させられました。むじゅんや問題に向き合うために「世の中の問題に関心をもつこと」「問題についてしっかり学ぶこと」「正しいことに対して行動する勇気をもつこと」をチトから教わったこととしてあげ、そのような人間になりたいという前向きな気持ちを表げんできています。わたしたち大人も「しかたがない」とあきらめるのではなく、問題に向き合っていきたいです。