受験生と保護者の「第一志望こだわり」体験!

受験勉強が嫌になった時、合宿のことを思い出して、前を向いて進んだ。

「こんにちは! 受付はこちらです。」
堀川高校の学校説明会に初めて行ったとき、私が見たのは、てきぱきと行動し、会場の運営をする生徒の皆さんの姿だった。
「ホテルに来たみたい。でも、みなさん格好良いし、楽しそうやな。」
と、当時中学二年生だった私は堀川高校に興味を持ち、学校や探究学科群についての詳しい説明を聞き終わったときには、
「この学校に行きたい!」
と思うようになっていた。

しかし、この思いに迷いが生じた時期があった。
私は、中学校で剣道部に所属していた。中学二年生の夏の終わり頃、有段者の先生が本格的に指導してくださることになった。いろんな中学校や高校に稽古をしに行く機会も増え、中学三年生での最後の大会では団体戦、個人戦共に結果を残すことができた。それでも、負けたことが悔しくて、
「剣道の強い学校に行って、もっと強くなりたい。」
という思いが湧いてきた。
そんな私を見て、母はいろんな高校を調べて、私に提案してくれた。様々な選択肢を前に、もやもやとした気持ちを抱えていたとき、例の有段者の先生であり、担任でもあるT先生が、私にこんな事をおっしゃった。
「お前は高校で何がしたいんや? 剣道か? 勉強か? 堀川に行っても剣道はできる。そこでお前がどれだけきちんと稽古するかが問題やろ。」
さらに、父もこんなことを言った。
「強い高校に行ったからって、あなたが強くなれるんか? どこであっても強くなるのは自分じゃないの?」
これらの言葉を聞いたとき、初めて行った学校説明会で感じた気持ちを思い出した。
そして、少し回り道をしたものの、
「第一志望は堀川高校です。」
と、胸を張って言えるようになった。

それからは、堀川高校の適性検査に受かるための勉強に集中した。適性検査合格講座、日曜進学教室、正月特訓、直前特訓、と休日も合格のために勉強した。時には嫌になることもあった。そんなとき支えになったのは、能登島の夏期学習合宿での思い出だ。
合宿には、私の知らない中三生が大勢いて、そのほとんどが、私よりも成績が良いという状況。
「ここでやっていけるのだろうか。」
と不安を抱えながら、合宿がスタートした。
周りのレベルの高さはもちろんだが、それよりも、それぞれの学習に対する積極性に、私は衝撃を受けた。
授業でも自主学習でも、自分の納得がいくまで先生に質問して、学習を深めようとする姿勢に刺激を受け、私も見習って学習をするようになった。
能登島での日々はあっという間に過ぎ、合宿所からの帰り道には、熱心な仲間たちとの苦しいけれど、楽しくもあった日々の思い出と、その仲間からもらったやる気をしっかりと抱えていた。
受験勉強が嫌になった時、そんな合宿のことを思い出して、
「みんな、がんばっているんだ。」
と、前を向いて進んだ。

入試が目前に迫って、私は過去問を中心に勉強を進めていった。記述は先生に採点していただき、問題慣れをしていった。実際の試験時間通りに問題を解き、時間配分の訓練もして、とにかくできることをしていった。
そして二月十四日。
「やることはやったし、これで落ちたら、もう何をしても受からない。」
と、後悔などみじんも感じなかった。
運命の合格発表の日。適性も推薦も合格したと分かったときには満面の笑みで「やったー」と叫んだ。スキップしながら家に帰り、家にいた祖母に合格したと伝え、電話で母と父にも伝えた。三人とも涙ぐんでいて、私はただ嬉しくて笑っていた。

高校合格がゴールではなくスタートなのだが、スタートする前に、ここにたどり着くまで支えてくれた家族に感謝したい。高い塾代を払って、私に授業を受けさせてくれた両親。いろんな学校を調べ、後悔しない選択をさせてくれて、自分の仕事が忙しくても、送り迎えをしてくれて本当にありがとう。
そして、いつも夕食を作りに来てくれる祖母と、塾まで送ってくれた叔父にも感謝したい。
いつもありがとう。

今、私は新たな出会いや経験をすることへの期待に胸をふくらませながら、スタートラインに立っている。しかし、スタートすると決して平坦な道のりではないだろう。苦しくなったとき、きっと成基で仲間や先生方と過ごした日々や、支えてくれている家族が力になってくれると思う。
だから私は困難を恐れず、前を向いて進んで行くつもりだ。